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ダークナイト

地上波はざっと流し見してから、「ライジング」を見て、改めてBDを購入。
ちゃんと見ました。

アートとしての映画という観点で見ると、3部作の中ではこの「ダークナイト」が一番完成度が高いのかもしれないって、逮捕されたジョーカーが、警察の留置所の檻の中に座ってるシーンで思いました。
闇の中にジョーカーのどぎつい色が微妙にくすんだ感じで浮かび上がって、暗い色調のパステル画のような趣。
ヒース・レジャーの演技は、俳優として役を演じてるというよりは、ダンサーがパフォーミングしているように見え、おのれの心の赴くままに、自由自在に物語世界で軽やかに舞い、善も悪も、強者も弱者も翻弄するジョーカーは、実に魅力的。枠にはめられたバットマンが野暮で哀れな道化に見えてくる。
ヒースが生命を賭したと言われるのは、彼の遺作となったことだけが理由でないな、と頷ける。
だけど、ヒースのジョーカーの凄さは、吹き替えだとかなり目減りするな。本人の声でないと十二分には伝わらないと思ったです。

結構最初の方から伏線散りばめてるよね、ラミレスのお母さんネタとか、デントのコインとか。
あと、シフを脅している辺りからデントが壊れかけてる気配が感じられたり。陽の当たる場所を歩き続けて来た彼には、ジョーカーの奔放な残酷さが耐えられなかった。レイチェルの死は引き金に過ぎなかったのでは。

やっぱりアルフレッド&ルーシャスのブルース様お守り隊(ゴードンは外しますた)はいい味。二人とも言うべきことはちゃんと言う。安易な慰めを言わないアルフレッド、携帯の盗聴装置がある限り辞めるとはっきり告げるルーシャス。甘やかさない諂わない。徹底してる。
でも、アルフレッドもウェイン家の執事になる前は結構修羅場を踏んでいたのね。ビルマの山賊を殲滅するために森を焼いたて。

以下、小ネタ。

・スケアクロウwwキリアンかーいい
・レイチェルぶすにな(ケフンケフン。でも、こっちのレイチェルの方が辣腕検事っぽい。
・中国企業との合弁話とかって時代。
・ボリショイのプリマと付き合ってるのか。
・マネーロンダリングの話が出てくる辺り、やっぱり資本主義的。
・アリバイ作りでバレエ公演中止させてダンサーとデートって。
・香港警察ってジャッキーとかいそう。
・職務上仕入れた情報でクライアントを脅迫するて。こいつ会計士としても終わりなんじゃ…。
・市警本部長の葬儀になぜバグパイプ?
・ゴードンの死んだふりの段どりはよく分からなかった。市警の人たちは知ってたんだよね?
・憎しみに耐えられないのがバットマンの限界。
・「だから言ったのに」「君が黒幕だっていうつもり」
・カーチェイスが割と間延びしがちな気がス。3部作全般的に。
・パパが彼(バットマン)を助けた。違いない。
・ランボルギーニが地味。
・「バットマンが付いてる」って嫌味ね。
・そうか、単純に信号無視して怪我の功名だと思ってたのか。このシーンを誤解してたんだわ、ゴードンもバットマンの正体知ってるって。
・ナースなジョーカー。すげー可愛い。爆破が遅れてまごまごしてるとか。
・これはちょっとスワットが可哀そう。
・カッコイイ、起爆装置を投げ捨てる囚人さん。
・楽しそうに落ちていくジョーカー。やっぱりバットマンに殺して欲しいのかなー。バットマンを誰よりも愛していたのは、彼なのかも。
・デントがゴードンを標的にするのは、単なる八つ当たりだよな。
・「感謝する」「礼など言うな」
楊翠霞 * 映画 * 11:08 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

ダークナイトライジング

いやー見応えありましたわー。
見終わった後、ちょっとぼーぜんとしちゃった。
初IMAXで視覚的聴覚的触覚的(椅子がぶるぶる震えたりする)にインパクトがあったってのもありますが。
IMAXっちゅうのは凄いもんですな!
一度これで、ナルニア1章と2章が見たいのうって、え。

それより何より。
ちょっと無理して「ビギンズ」見ておいてよかったわ。
ここまで「ビギンズ」と呼応した内容とは思わなんだ。
もう、特に終盤は「うわーうわー」って言いっ放し。多分、未見だったら、完全に置いてかれると思う。
むしろ「ダークナイト」は、レイチェル死亡とバットマン追放の経緯だけ分かっていれば未見でも大丈夫かも。
まあ、デントの葬儀シーンから始まるから、「ダークナイト」との連続性はあるけどね。

(以下もっすごネタバレなので、畳みます)
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楊翠霞 * 映画 * 21:01 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

バッドマン・ビギンズ

「ダークナイト・ライジング」を観に行くにあたって、予習のためにDVD借りてきて見てみますた。
タイトル通り「誕生編」「バットマンが出来るまで」という感じで、複数のエピソードが繋ぎ合わされてる感じがありますが、その一つ一つの完成度が高くて、ちょっと中盤たるんだ印象があった以外は、大変楽しめました。
やっぱり、自分クリストファー・ノーラン作品とは肌が合うみたいですわ。

個人的には、地上波「ダークナイト」で、アルフレッド=マイケル・ケイン、ゴードン=ゲイリー・オールドマン、フォックス=モーガン・フリーマンの「ブルース様をお守りする隊」の面々が萌えて萌えて仕方がなかったんですが、「ビギンズ」はそれを上回る、素敵なおじ様たちのブルースお坊ちゃま御守りっぷり。特にアルフレッド。もー火事の後の「人はなぜ落ちるか?這い上がるためです」「見捨てないのか」「…決して」では思わず目から汗が。
「ライジング」も、素敵おじ様ズのお坊ちゃま御守り大作戦(違)を楽しみにしたいと思いマス!

ああでも、ゴードンは、いつブルース=バットマンって知ったのかしらね。「ダークナイト」の時点ではもう知ってたよね?

以下細かい感想を掻い摘んで。

・中国人が英語喋ってるーって思ったけど、昔「ラストエンペラー」っちゅう映画があってさー。
・氷河が凄いな。どこで撮ったんだろ。
・こういうカメラワーク好きだよなー自分、遠景でゆっくりカメラがパンするの。「インセプション」でも結構なかったっけ?
・ケン・ワタナベは、やっぱり見栄えがするよなあ。ハリウッドで仕事が途絶えないのも分かる。
・パパウェインの役者さん、いいな。ライナス・ローチかφ(..)メモメモ
・ゴードン巡査部長。ここでちびっ子ブルースを労わってあげるシーンが入るのは、何かうれしい。
・リーアムの声が某ライオンさんにしか聞こえない件。
・ブルースってしみじみ可愛がられキャラだなー。いや文字通りの意味で。
・「旦那様から旦那様の世界一大事な坊ちゃまを託された」
・アルフレッド〜〜〜
・このレイチェルは、トムの元嫁か。可愛いじゃないか。
・クリスチャン・ベールは、「ダークナイト」の時よりいい味出てる気がする。「ダークナイト」は、やっぱりヒース・レジャーに喰われてたか。
・何で刑務所入れられているのかと思ったら(中国だから政治犯?とか)ふつーに悪いことして捕まってたんだ、ブルース。
・いきなり英語喋り出すケン・ワタナベ。
・謙さんの殺陣はやっぱりかっけーな。
・アールってルドガー・ハウアーだったんだ!道理で見覚えが!老けたなー
・キリアン・マーフィはビギンズにも出てたのね。このビー玉みたいな目は凄い(褒めてます)。
・最初上手く隣のビルに飛び移れなくて落っこちるのが、ちょっとカッコ悪い。
・ナローズ島の「ブレードランナー」っぽい雰囲気にハマった。
・スケアクロウにやられて、助けてアルフレッド〜〜〜〜
・キリアン・マーフィの発狂演技って、萌ゆる。
・バットマンがレイチェルに“Stay with me”で、字幕が「頑張れ」?
・言うことはびしっと言う、アルフレッド。決して甘やかしません。
・千年女王ぽい設定だな、闇の同盟。「ローマ帝国の滅亡もペストの流行もロンドン大火もわしらの仕業〜」
・繰り返しリーアムの声が某ライオンさんにしか聞こえない件。
・そんな言い方でレイチェルに正体バラすのー!!
・水道局のおじいちゃん、かっこいい!
・ゴードンやったーーーー!!ゴッサムを救ったのは、ゴードンやー。
・「助けない」って未必の故意で殺人が成立しやしないか?
・株を買い占めて経営権奪取。資本主義的ヒーローだな。
・レイチェルといい雰囲気だったのに…。「ダークナイト」を先に観てると、このシーンは辛いなあ…。中の人変わったとは言え。
・ジョーカー!!
楊翠霞 * 映画 * 16:59 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

タイタニック 3D

この映画を見て感じたことの一つに、いろいろな意味で、前近代的伝統社会から近代的産業社会への過渡期の様子が現れているなあという印象があります。
例えばこの物語が19世紀のヨーロッパ社会が舞台だったとしたら、「1等」の客と「3等」の客との間には「出自」「血統」という決して越えられない壁があり、ジャックが「1等」に入り込む場面も、もっと屈辱的に描かれるはず。
だけど、この映画の舞台になっている、社会の産業化が進み、アメリカが世界の覇権を手にしつつある20世紀では、その壁は「金を持っている」「持っていない」の違いに過ぎない。1等客の間では、「侯爵夫人」と呼ばれる人たちと成金のモリー・ブラウンとの間には溝があるけれど、ローズ母娘の例に現れているように、金のない貴族たちは、金のある成り上がりたちを自らの社会に受け入れざるを得ない。
キャルとジャックの差も金持ちが貧乏かという1点のみで、仮にジャックが急に作品が評価されて売れっ子にでもなるか、逆にキャルが事業に失敗して一文無しにでもなったら、簡単にその壁が乗り越えられてしまうことが、二人とも分かっている。
だから、1等客用の食堂にジャックが招待されると分かると、モリーはむしろ彼の味方になって親身になってフォローするし、他の客たち(キャルのテーブルについていた人々は、おそらく貴族ではなく成金たち)も、ジャックが率直に自分の生き方の信念を披露すると、興味を持ち、感銘を受け、ある程度の敬意は示そうとする。
ジャックが絵描きを生業にするボヘミアンで、ある意味知的階級に属していて、労働者階級ではないというのも大きいとは思いますが。
そう考えると、ジャックとローズの結びつきも、芸術好きのローズと画家のジャックという、同じ感性を持った者同士の絆で、いわゆる「身分違いの恋」というのとは違うということになるのかな。

いや、もちろん映画のキモがそんなところにあるとは思っていませんよ?
実は1997年に公開されて社会現象になるくらいヒットした頃も見てなかったんですが、なぜか今更ふっと思い立ったと言うかN国ジャンルのお友達に誘われたと言うか誘ったと言うかで、今回の3D公開に足を運んだわけなのですけれども。

いやーワタクシこの映画を大変甘く見ておりました。
単なる一般受けするスペクタクル+メロドラマ映画と侮っておりました。
(長くなったので、たたみます)
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楊翠霞 * 映画 * 13:04 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

第九軍団のワシ

地上波ガイ・リッチー「ホームズ」から「戦火の馬」、「ジキル&ハイド」と、19世紀末〜20世紀初頭の近代英国が続いたと思ったら、一気に紀元1世紀の古代ブリタニアに遡ったった。

学生時代にローズマリー・サトクリフにめっきりハマっていた時期があって、映画化の話を聞いて、大変懐かしく思ったものでございます。
とは言え、サトクリフの原作を読んだのがン十年前ですので、かなり内容は朧でしたが、砦の攻防戦から、負傷した主人公が叔父の家で療養して、闘技場で奴隷を助けて、嫌な政治家の息子に挑発されて…って辺りまでの展開は、「あ、そーいやそんな内容だった」と割とするすると思い出す感じで、ちょっと映画「ナルニア国物語」を初めて観た時の感触によく似てましたな。(そういや原作『ナルニア国ものがたり』の初読もサトクリフ作品と同時期やってんな)
ところが、ハドリアヌスの壁を越えて以降は、さっぱり原作の展開を思い出せず。(映画「ナルニア」2章の時の体験から推すに)かなり後半は改変していたのかも。
いい機会だから、再読して、『ともしびをかかげて』で止まっちゃってたローマン・ブリテン4部作も読了してみようかしら。1990年代以降に翻訳されたものは、読んでないのよね。てゆーか2000年以降ものすごい勢いで邦訳されてないか。H書房のY氏訳って、トールキン作品の翻訳が滅法評判が悪いんだけど…。

確か、原作には女の子が登場していて(アクイラ叔父が引き取っていた親族の娘とか何とかそんな設定)、北から戻ったマーカスと結ばれるんですが、その設定はがっつりカットされてましたね。てか女っ気が全くない映画だった。原作って、あんなにマーカスとエスカの関係性が掘り下げられてたっけ?
あと、犬も出てきたはずだが。

原作は児童文学に分類されてますが、映画はもっと大人の、それも硬派指向の男性客を意識したらしく、かなりダークでストイックな作りになっているという印象。ヒロインや犬の存在がカットされていることも含めて。
原作のマーカスはあんなに屈折したキャラだったっけって感じだし、戦闘シーンはかなりハードで、グロくて、痛い。
そんな簡素で、武骨で、荒々しい、だが、陰影の深い、詩情豊かな映像描写が、むしろローマ時代のブリタニアの空気を正しく伝えているようで、非常に心惹かれました。
特に後半は、異形で残酷なピクト人をも包含したスコットランドの大地そのものがこの映画の主人公でないかと思われるほど、圧倒的な自然の描写が胸を打った。
大空の下に広がるハイランドの風景、ピクト人の部落が望む北の海の冷厳たる広がり、岩だらけの荒野、冷んやりとした空気の漂う幻想的な森。

うむ、これは良い映画だ。

そして、そのスコットランドの空気から立ち現れたかのような、エスカ役のジェイミー・ベルの佇まいは素晴らしかった。マーカスはもうちょっとすっきりした雰囲気の人の方が良かった。チャニング・テイタムはローマの軍人よりもアメリカ兵のが似合う。
てか、ローマ人はアメリカ人俳優、ブリトン人はイギリス人俳優でキャスティングって、ちょっと変な狙い。ドナルド・サザーランドは気品があって良かったけど。でも、第九軍団の生き残りは英国人のマーク・ストロング(ガイ・リッチー版ホームズのブラックウッド卿)だよな。

あと、とにかくケルト風の音楽が素晴らしかった。アマゾンさんでUS版のサントラ盤ぽちしちゃった。国内盤は出てないのか。

ユルスナールの『ハドリアヌス帝の回想』を割と読了したばかりなので、あーあの時代かーって思いました。
彼の治世は、拡大し続けたローマ帝国が縮小へと転換する時代なのよね。そんな時代の雰囲気がすごくリアルに感じられる映画でもあった。そういう意味では、優れた歴史映画でもあると思います。

そうそう。
裏的な感想としては、エスカとマーカスの主従愛→友情は、昨今の腐女子のみなさんお楽しみくださいなノリではなく、ある意味少年ジャンプ的な感じなのが、とても心地よかったですが。"I lost you"が無闇にぐっと来ちゃったり。ただ、上にも書いたように、マーカスの中の人がもそっとなーっていう惜しい感が否めなかったのですた。
あと、前半のブリタニアの風景が、妙に映画「ナルニア」2章のナルニアの森を思い出させるわーと思ったら、前半はハンガリーで撮ったんですね。ナルニアはチェコとかポーランドだから、なるほど東欧の森か。
砦の攻防戦が無暗にアスラン塚の戦いに似てるとかね。
開けたところに砦があって、森の中から敵が攻めてくるとか、密集隊形で押し出してくる歩兵が掲げる盾の上に敵兵がのしかかってくるとか(ナルニアで、のしかかったのは味方の方だけど)。

4月1日 ユーロスペースにて鑑賞
楊翠霞 * 映画 * 23:23 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

戦火の馬

主演のジェレミー・アーヴァインがちょっと某N国兄似(ああでも顎から耳にかけてのラインの美しさはウィルくんの方が一枚上)で、N国ジャンルのお友達におススメされたので、思い立ったようにふらっと見てきましたが。

安心のスピルバーグ印。
ああやっぱりそうくるわね?このやろー泣かせよーたってそーはいかねえぞーと思いながらも、ぼろぼろ涙が出てしまいました。
スピルバーグは、今更感満載なSFとか冒険物とか撮ってないで、ヒューマニズム大作で頑張ればいいじゃんって思いました。
「きれいごと」「甘い」とみる向きも多いでしょうが、これは人の世のあるべき姿を示そうとした寓話であるのは、冒頭から明らかで、まあ、その辺りは野暮な突っ込みということになりましょう。

以下、ネタバレ無用なので、畳みまーす。

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楊翠霞 * 映画 * 22:29 * comments(2) * trackbacks(0) * - -

フラメンコ・フラメンコ

カルロス・サウラ監督の映画は、ずーーーーーーーっと昔、テレビで「血の婚礼」(当時は、民放の深夜帯でアート系の映画をノーカットCMなしでやる枠があった)を見ているだけなんですけども。
極限まで削ぎ落とした、シンプルな演出で、踊りとそこに表現される剥き出しの情念を際立たせて見せるという映画だったように記憶してるんですが。

で、今回もシンプルな作りで、がっつり踊り中心に見せてもらえるのかと思って行ったんですけども。
むーん、思ったような構成じゃなかったですねえ。
半分以上は歌や楽器のパフォーマンスだったこともありますが、踊りが余りぐっとくるようなのがなかったということ、それから、演出が過剰気味でかなりうるさかったということ(イメージを限定してしまう背景画とか本水(ってゆーのか)降らすとか)、カメラワークがダンサーの踊りをじっくり見せるというものではなくて集中力が途切れてしまうといったことが、感情移入を阻んでしまったというか。
撮影監督のヴィットリオ・ストラーロの映像は、あーベルトルッチって感じの光の使い方は悪くなかったんですけどねー。

ただ、ファルキートのパフォーマンスは素晴らしかった!
去年、チケット取ってたのに、震災で延期になってしまって、見られなかった東京フラメンコフェスティバルで来日してたんですよねえ。無念じゃ。
彼の踊りを見て、やっと「あーフラメンコ見た!」って実感がわきましたよ。
あと、彼の弟のエル・ファルーコ、まだ14才ぐらい?軽やかでキレのある素晴らしいダンス。

踊り以外では、男性二人によるフラメンコピアノが何かエロティックだったし、「ギターの神様」パコ・デ・ルシアは、もうギターがむせび泣いてるってか声を上げて号泣していて、もーさすが。

全体的にはちょっと期待したのとは違う、でもまあ、ファルキートが良かったからいいかなって感じでしたけど、帰りのエレベーターで一緒になったマダムが、お連れさんのムッシュウに「決定版ではなかったわねー。前の『イベリア』の方が良かったわ。今度貸すわね」って仰ってたので、あながち見当違いの感想ではないのかな、と。
「イベリア」、アマゾンさんでかなり値引きになってたので、ポチしちゃおうかなーっていつ見るんだー。

BUNKAMURAル・シネマ2にて鑑賞
楊翠霞 * 映画 * 11:09 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

シネマ歌舞伎 女殺油地獄

シネマ歌舞伎って幾つか見てるんですが、面白かったと言えるのは、山田洋次監督が演出した中村屋さんの「人情噺文七元結」くらいで、正直歌舞伎の映像を映画館で流す意義って、地理的、時間的制約その他で、なかなか劇場に足を運ぶ機会のない人のため以外に何があるのかしらって思ってたんですけども。

今回、生で二回観劇している舞台にも関らず、すっごく面白かったのです。
やっぱり人情物には合うのかなと最初は思ったんですが、後でカメラをうんと寄せて、役者の表情をじっくり撮っているからだと気が付きました。
1階の最前列の席でも、あれだけ間近で一人一人の役者さんの表情は見えないでしょうから、まさしく映像のメリットだな。

で、そうなると、やっぱり、仁左衛門、秀太郎、歌六は、細やかな表情の芝居という点でも群を抜いている。
孝太郎ちゃん、現地で見た時は、お父様を向こうに回して頑張ってるなーって思いましたけど、表情を見ていると、やっぱりいっぱいいっぱいなのが否めないのですねえ。
にざ様が「不義になって貸して下され」って言った時の艶っぽい表情と来たら、あたしがお吉さんだったら、すぐさま「おーっし、不義になって貸してやろう!!」って叫ぶわ!!!

一つ残念だったのは、現地でも気になった、油で滑るところで客席から笑いが起きるのが入ってしまっていること。
この映像は、十五代仁左衛門一世一代の「油地獄」として、末永く残るだろうから、そんな質の悪い観客の存在まで残されてしまうのは、非常に残念。

義太夫は、やっぱり綾太夫さんでしたねえ。
あのソウルフルな語りは、もう二度と聞けないのかと思って、しんみりしました。

MOVIXさいたまにて鑑賞。
楊翠霞 * 映画 * 01:40 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

リトルランボーズ

「彼らを救ったのは、愛でも、神様でもなく、《たった一本の映画》だった―。」
でもね、やっぱり、本当に彼らを救ったのは、《愛》だったと思うのよ。

なぜかウィル・ポールターくんの役を「育ちがいい方」と思い込んでた。「悪い方」なのね。そりゃそうね。あの面構え(←)ですものね。

環境が全く違う二人の少年がふとしたことで出会って、子どもらしい原因での諍いもありつつ、障害を乗り越えて友情を育んでいく、オーソドックスなボーイミーツボーイの物語なのだけど(少年時代の友情というのは、概ね擬似恋愛的に語られるものだ)、いやそういうのはむしろ大好物(以下略)。

そこに、映画への愛と表現することへのあくなき欲求(ウィルの聖書やトイレの落書きに、抑圧された、表現することへの激しい欲求がぎゅうぎゅうに押し込められているのが見えるようで、ちょっと怖いくらいだった)が横糸として織り込まれていて、ちょっと小粋なユーモアも盛り込まれていて。
とてもキュートな映画でした。

映像も、イングランド郊外の田園風景と、古めかしい校舎の佇まいが印象的な、繊細で美しい作り。

とにかく、リー役のウィル・ポールターは、素晴らしかった。
前半の悪童っぷりも下品に堕していなかったし、兄やウィルに接する時の表情やしぐさの繊細さと豊かさと言ったら。
彼のナイーヴで端正な佇まいは、映画全体に不思議な透明感を与えていましたね。
この映画をこんなに魅力的にしたのは、間違いなく彼の存在が大きかったと思う。
でも、今はもう仰天に育っちゃってるのよねー。
多分もう兄役のエド・ウェストウィックよりでかくなっているんぢゃ。

ウィル役のビル・ミルナーも、可愛くて良かったです。
純粋培養で育てられた少年が、突然与えられた刺激に夢中になってのめりこんで、本当に自分にとって大切な物を見失いかけるんだけど、そうと気づいた時、真摯に自分の過ちに向き合い、大切な物を取り戻そうとする姿が素直に感動できた。

プリマス同胞教会って、アメリカのアーミッシュ(「目撃者」という美しい映画があった)とか思い出しましたが。普通ああいう信仰グループに入っている人って、リーみたいな子も通っているようなフツーの学校には子どもを入れないんじゃないかって言うのは、言わないお約束?
きっとウィルのお母さんは、子どもの頃プレーヤーを焼かれたことが、実はずーっと納得いってなかったんだろうなあって思いました。あと、ブラザー・ジョシュアに付き纏われるのがウザかったんじゃねってのもあるか。

ディディエの描写見てると、イギリス人のフランス人に対する偏見というかコンプレックスというか、君ら何百年の付き合いやねんって言うか。
中の子は、なかなか悪乗り気味がいい感じだった。

「ランボー」公開当時の、80年代初期の英国のチープというかキッチュな若者文化(音楽とかファッションとか)の空気は、結構ブリティッシュロックに嵌っていた時期があった身としてはイタタタタ…って感じ。
談話室に貼ってあったデュランデュランのポスター、確か雑誌の付録かなんかで同じ柄のを見たことがあるよ。
その隣のポスターが誰だったか、どうしても思い出せない。知ってたはずなんだが、思い出せない。

やーもーとにかく、ウィル・ポールターくんに尽きる!って感じの映画でした。
オススメです。

早稲田松竹にて鑑賞。
楊翠霞 * 映画 * 10:14 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

英国王のスピーチ

エリザベス現女王の父王のエピソードだと聞いて、興味を持っていたんですが。
オスカー獲っちゃったせいか、えらく混んでたなあ。
まあ、レディースデーということもあったかもしれませんけども。

いやでも。
良い映画でした。
つか、ひさびさのツボ映画。
ぶっちゃけ、「かもめ食堂」以来の好き映画キター!!って感じです。(まあ、そんなにたくさん見てるわけではないんですが)

え?N国?あれは別枠ですから。

ジョージ6世が吃音の矯正に取り組む様子を、ただ淡々とエピソードを積み重ねて描いているだけなのだけども、そこに彼を取り巻く環境が実に丁寧に描きこまれていて、王族という特殊な環境に生まれ、めぐりめぐって王位を押し付けられる羽目になった、一人の等身大の男性の誠実さと勇気が浮かび上がってきて、静かな感動で充たされるような映画でした。
作り手の視点がとても暖かで、この手の素材にありがちな、ニヒルで斜に構えた目線がなく、それでいてイギリスらしいユーモアも盛り込まれているのも、見ていて心地よい。

とにかく俳優陣が素晴らしい。
特にコリン・ファースは、本当に素晴らしかった!彼がアルバートを演じたからこそ、これだけ感動的な映画になったんだと思う。アルバートの内面の不安と恐怖心がひしひしと伝わって、それがゆえに、彼が強い責任感でもってそれに立ち向かおうとした勇気に心が動かされる。
ずっと自信なげにおどおどしていたのに、開戦の演説を終えた後、人が変わったように堂々として自信に溢れた様子になっていたのは、凄いと思った。
ヘレン・ボナム・カーターも、魅力的で愛情深い良家の女性そのもので、とても素敵でした。ジェフリー・ラッシュも適度に力が抜けてる感じで、円熟の味。
エドワード8世とシンプソン夫人の胡散臭い感じ、当時の彼らを取り巻く空気が伝わってくるようで、アルバート夫妻との対比も興味深かったな。

それにしても、ハリポタとかぶりすぎだなや、キャスト。まあいいけど。
イギリスの役者さんって何でもこなすのね。

ローグがオーストラリア人っていうのは、結構肝だったのかなってちょっと思った。
イギリスの王室に対して、本国人ほど近しみはないけど、英連邦内出身として、まるで無関係ってわけでもなく、適度な距離感というか。

開戦の演説の場面で、あえてドイツの作曲家であるベートーヴェンの音楽を使ったのは、敵はドイツという国家やそこに属する人々ではなく、ナチズムという人類の平和と自立を脅かす存在なのだということを表したのかなってちょっと思いました。

画面が、一貫して、ちょっと湿ってる感じなのが、何か心地良かった。

TOHOシネマズシャンテにて鑑賞。
楊翠霞 * 映画 * 00:15 * comments(0) * trackbacks(0) * - -
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