舞台とごっちゃになるのと、映画化が何度もされてていろいろ紛らわしいので、こういうタイトルになりましたが。
やーもーとにかく「民衆の歌」が自分的超反則曲だって思い知りましたよ。
あのアンサンブルで、あのバリケード映像付きで、しかも映画館の高音質で流されたひには、映画の出来とかどーでもよくなる嗚咽モード。
中盤とラストのあれをもう一回体験するためだけにもっと空いてきた時期のレイトショーとかで見て、周囲を気にせずわんわん泣きに行きたいかも。
あ、映画も良かったです。舞台とか映画とか関係なく、あのミュージカルの解釈、演出方法として見て、とても興味深かった。テナルディエの宿屋のシーンとか最高。ラマルクの葬儀シーンからバリケードの建設までのシークエンスには鳥肌立った。
ただ、冒頭からしばらくすっかり耳に馴染んだミュージカルナンバーと映画の壮大な画面が自分の中でしっくり来なくて、なかなか入り込めなかった。ミュージカルに慣れてない人はそこで挫折しそうだなって思いました。
「一日の終わりに」のアンサンブルからやっと映画に入り込めるようになったかな。
「民衆の歌」も「乞食たち」もそうだけど、アンサンブルの歌唱シーンは凄いね!あの迫力は映画でないと出来ない。鳥肌立ちまくり。
で、心配されたプリンシパル陣の歌ですが。
エディ・レッドメインもアマンダ・セイフライドもほんとに歌が素敵でびっくりしました。二人とも可愛いし。
ヒュー・ジャックマンとアン・ハサウェイは無難かなー。
ヒューは、冒頭とか特に司祭役のコルム・ウィルキンソン(ミュージカルの85年初演版のバルジャン役)との演技力歌唱力の差がちょっと見えちゃった感じ。
アンの「夢破れて」は、すっごく評判はいいんですが、自分的には演技過剰気味で軽く萎えちゃったってのが正直なところ。
一番心配だったラッセル・クロウはー。まあ、歌にはなってたんですが。
とりあえず歌にはなってますってレベル。
「夢破れて」とか「彼を帰して」とかっていうプリンシパルのソロって、オペラのアリアと同じで、歌い手の歌唱力を見せつけるためのナンバーなんですよ。「歌が歌える」程度の役者さんだと結構キビシイんですよね。正直「星よ」の時は早く終われって思ってた。
そこいくと舞台版キャストのサマンサ・バークスは安心して聴いていられた。「オン・マイ・オウン」は25周年コンサートよりもぐっと来たかも。
サシャ・バロン・コーエンとヘレナ・ボナム・カーターは、コメディアン、コメディエンヌとしての魅力が全開でした。ある意味一番おいしい役どころだったかも。
あ、アンジョとグランテールが「心中」だったのにはーそしてその辺り原作通りってのがー…萌え。頑張って原作読もう。
アンジョが窓から逆さづりになって死んだのにはおおってなった。舞台ファンへのサービス?
ABCメンバーは、結構舞台版キャストが入ってるみたいですね。
コンブフェール、クールフェラック、プルベール、あとアンサンブルにもいたらしい。
グランテール、イケメン過ぎ(笑)。アンジョは逆にオーラ不足だったかのう。個人的にマリウスより背が低いアンジョってちょっと違和感。てかエディくん、アンジョでもよかったんじゃ?
アップが多いという点がよく指摘されてるけど、「英国王のスピーチ」もそう言えばアップが多かった気がするので、トム・フーパーの特徴なんでは。小津映画好きなのか。
第二帝政期に大幅都市改造される前の、雑然としたパリの街が再現されていたのは良かったです。今みたいに大通りが整備された、綺麗な放射状の街並みではなかったはずなのよねん。
暴動が鎮圧された後、ジャベールがガヴローシュの遺体に勲章を付けるのは確か舞台にはなかった演出。既に彼がそれまでとは違う人間になっていることが示唆されているような。ラッセルさんのアイデアだそうです。
12月23日 MOVIXさいたまにて鑑賞。